バスキュラーアクセスは透析治療の生命線【VAはちゃんと評価しよ】

透析

困った人

新人透析MEクン「透析患者さんに穿刺を始めることになったんだ。シャントのこととか、エコー評価とかいろいろ勉強しなきゃいけないなと思ってるんだけど。」

こんな疑問に答えていきます。

バスキュラーアクセスは透析治療の生命線。これがないと慢性維持透析は不可能。
VAを管理していく事が、いい透析治療を行う上で最も重要ですので、しっかり覚えておきましょう。

VAの管理って要するに評価。この記事ではVAの一般知識と、超音波によるVAの評価について解説していきます。

VAってなんのためにあるの?

VAってなんのためにあるの?出典:MediPress シャントの種類

透析を行うためには必要な血液量を脱血する必要があります。
健常人の静脈ですと駆血しても数十㏄程度しか脱血できないため、透析の実施は不可能。

そのため透析を行うに足る血流を取るために以下の方法が取られます。

  • 自己の動静脈をつなぐAVF(自己血管内シャント)
  • 動静脈を人工血管(グラフト)でつなぐAVG(人工血管内シャント)
  • 長期留置カテーテル
  • 動脈表在化

自己血管内シャントAVF

シャント作成の第一選択。

末梢側から
タバチエールAVF
前腕末梢AVF(橈側,尺側)
前腕中央部AVF,肘窩AVF
上腕AVF

手術の容易さ,合併症の少なさや穿刺部位の広さを考慮して,なるべく末梢から作製すること推奨。
橈骨動脈と撓側皮静脈を吻合する形が最も多いと思います。

人工物を使用しないことから感染率が低い事が特徴

人工血管内シャントAVG

人工血管(グラフト)を用いた方法。
AVFの作成が困難と予想される症例で選択。
人工物を用いるため感染リスクが高まることが欠点。
また、静脈吻合部の狭窄が起きやすいために、脱血不良をきたさずに突然閉塞してしまうこともありますので、注意が必要。

グラフトは様々な種類があり、長期開存性や早期穿刺の可否、止血性など様々なため、状況に応じて選択する必要があります。

AVGに使うグラフト

  • expanded polytetrafluoroethylene(ePTFE)
  • Polyurethane(PU)
  • Polyolefin elastomer polyester(PEP)

それぞれのグラフトには以下のような特性がありますので、状況に応じて選択する必要があります。

ePTFE PU PEP
長期開存性 不明
早期穿刺
術後浮腫
止血性
手術の容易さ
血清腫
超音波による管理

AVFとAVGは透析中以外でも高血流がシャント肢に流れているため、心機能低下患者は要注意

動脈表在化

通常の内シャント作製が困難な場合や,作製可能であってもシャントによる心負荷に耐えられないと予想される症例で選択。
日本特有の方法であり欧米ではほとんど行われていない。
上腕動脈や大腿動脈の表在化が可能だが、現在では上腕動脈表在化法がほとんど。

動脈に直接穿刺するため、狭窄などの合併症が起こると末梢循環に影響を与える事が大問題

カテーテル

  • カテーテルはカフを有さない「非カフ型カテーテル」
  • カフを有する「カフ型カテーテル」

非カフ型カテーテルは主に短期使用に,カフ型カテーテルは主に長期使用に適しています。

足の付け根や頸部血管などにカテーテルを留置して脱血と返血を行う方法が一般的。

超音波におけるVAの評価

エコー検査(超音波検査)におけるVAの評価にはどのようなものがあるでしょう?

  • 機能評価:FV(Flow Volume)上腕動脈血流量
  • 機能評価:RI(Resistance Index)血管抵抗指数
  • 機能評価:FP(Flow Pattern)上腕動脈波形
  • 形態評価:走行 外径・内径 マッピング

FV(フローボリューム)の評価

FV(フローボリューム)の評価出典:前腕手関節AVF(山本ら)

1分間にVAを流れる血流量の評価。
QB200の前腕AVFでは下グラフより、脱血不良を生じるFVのカットオフ値は350mL/minとなります。
一般的に設定血流量+150mL/minのFVがあれば脱血には問題がないとされています。しかし穿刺部位などの影響もあるので、穿刺部や理学所見も併せて評価する必要があります。

FVは上腕動脈血流を測定

RI(血管抵抗指数)

RI(抵抗指数)出典:前腕手関節AVF(山本ら)

末梢への血液の流れにくさ(抵抗)を反映する値。
Maxは1.0でカットオフは0.6となっている。

RIが0.6を超えたらPTA(経皮的血管拡張術)などでなんらかの処置を検討しましょ

FP(フローパターン)

FP(フローパターン)
上腕動脈の脈波形。波形のパターンでシャント閉塞のリスクや治療介入の必要性の判断が可能。

FPがⅢ以上で狭窄が疑われる

VAの形態評価

シャントマッピングは穿刺困難症例において非常に重要。

吻合部から穿刺部中枢側までの詳細なVA走行のマッピング
深さや外径・内径

穿刺困難時の原因記載をマッピング画像に注記しておくとチョー便利

穿刺時にすぐに閲覧できる環境で管理することで、穿刺時に使えるマッピング画像となる。
逆に言えば穿刺時に見れないマッピングは大きな意味を為さない。
VAの評価まとめ出典:2011年度版 慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製及び修復に関するガイドライン 日常管理第4章(3)

バスキュラーアクセスまとめ

わかった気がするMEクン

わかった気がするMEクン「AVFとAVGだと感染率が違ったりとか。同じグラフトでもいろんな種類があるんだね。
超音波検査の評価方法もある程度分かった気がするよ。患者さんのエコー結果見てちゃんと勉強してみるね」

安全で質の高い透析を行う上でバスキュラーアクセスはホント重要。

理学所見評価・形態評価・臨床評価を行い、リスクのある患者さんは定期的にチェックするシステムの構築が必要です。
マッピングは穿刺に役立ちます。穿刺者がどのような情報が必要なのかを把握し、マッピングのアップデートをしていくことで、施設全体の穿刺レベルアップを図りましょう。