後希釈オンラインHDFでよくあるトラブルと条件設定のポイントを解説

透析

困った人

困った新人MEクン「後希釈オンラインHDFの患者さんなんだけどさ、治療後半に警報が鳴りまくるんだよね。別に問題ある条件だとは思えないんだけど圧の制御がキツい感じ。」

こんな疑問に答えていきます。

後希釈オンラインHDFは小分子効率を落とさずにβ2MG領域の積極的な除去を行えるいい治療。
ですが万人に行える治療法ではありませんので、患者選択のミスや条件設定のミスなどで治療中にトラブルが起こりやすい治療でもあると言えます。

今回は後希釈オンラインHDFで起こりやすいトラブルと、条件設定のポイントについて解説していきます。

オンラインHDFの希釈方法の違いなどは「オンラインHDFって本当にいい治療!?条件設定のポイントと各治療法比較をしてみた」で解説しています。

使用用語のルール

基本的に使用する用語は以下のルールで記載しています。

動脈チャンバー圧力:PBi
静脈チャンバー圧力:PBo

後希釈オンラインHDFでよくあるトラブルとは?

後希釈オンラインHDFでよくあるトラブルとは?
後希釈オンラインHDFで頻発する警報は以下の通り。

  • PBi上限警報
  • TMP上限警報

後希釈オンラインHDFのトラブルの原因は血液流量と補液量のバランスがほとんど

PBi上限警報はPBoの動きとセットで考える

PBiが上昇傾向である時には、まずはPBoの変動を見る事が大事。

  • PBi上昇 PBo不変
  • PBi上昇 PBo上昇

この状況はAチャンバ以降からVチャンバ手前までの圧力が上昇している状況。
PBoが上昇していないため、Vチャンバの凝固などは原因の候補からは消しちゃいましょう。

後希釈オンラインHDFでこの状況が起こるということは、ヘモダイアフィルタ中空糸内での血液の濃縮の可能性が高いです。

元々後希釈オンラインHDFでは血液が除水+濾過によって低分子蛋白領域を引っ張ることを目的としていますので、どうしても血液の濃縮は避けられません。

透析後半は細胞間液の量も減ってきておりどうしても循環血液量は減少(=血液濃縮が進んでいる)している状態。更に濾過がかかる事で、中空糸内の血液濃縮は非常に強い状態となります。

濃縮の改善が必要(除水速度ダウン 補液量ダウン)

間違っても血流を下げる処置はNG。更に濃縮が進みます。
ヘモダイアフィルタ内での水の移動を抑制する必要があります。

PBiはAチャンバ以降の全ての圧力を参照するものですので、PBoが上がれば自ずとPBiもUPします。

透析回路の圧関係は間違いなく「PBi>PBo」であるため、PBoが上がればPBiが上がるのは当たり前の話。

この場合は静脈圧PBoの上昇に対する対処

PBoの上がる原因はこんなカンジ(単発の回路屈曲などは除く)

  • Vチャンバ凝固
  • 濾過とは関係のない血液濃縮

Vチャンバ凝固であればそもそものVチャンバへの血液流入を減らす必要があるので、QB(血液流量)を下げる事が必要。
QBを下げるだけでは濃縮が進むので、除水速度・補液速度も下げる必要があります。
それでも制御できなければ、回路交換をする必要もあるかもしれません。

濾過とは関係のない血液濃縮に関しては、そもそも血流量に対し除水速度が早すぎる・DWがきつくてリフィリングレートが下がることにより循環血液量の減少などが考えられます。

TMP上限警報が示すものは膜の透水性劣化だけではない

フィルタの透水性が下がる事で除水・濾過性能が落ちるため、TMPがより大きくなるというハナシは「透析における膜間圧力差TMPの考え方と対処方法【新人さん必見】」で解説しました。

後希釈オンラインHDFのTMP上昇は、フィルタの透水性依存のTMP上昇の他、血液濃縮によるTMP上昇も頻発します。

透析序盤からTMPの上昇がある場合は、そもそも血流量と補液量のバランスが悪い状態です。血流量UPや補液量ダウンの条件変更を検討しましょう。

後希釈オンラインHDFの条件設定のポイントとは?

ここまで読んできたらもうわかりますよね?

血流量と補液量のバランスを考えよう

後希釈オンラインHDFでは血流に対し考えるべきことは、補液量(濾過量)と除水量の2点。

ヘモダイアフィルタ内では血流量に対して、補液(濾過)・除水がダブルでかかってきますので要注意。

経験上、除水を除いて考えた場合、濾過速度は血流の15%ほどが限界値と思います。

血液流量 補液速度
250ml/min 40ml/min 2.4L/hr
300ml/min 50ml/min 3L/hr

除水速度を多めにかけなきゃいけない、体液量が少ない(体格が小さい)方は結構ギリギリの条件となる可能性もありますので、PBiやTMPをしっかり見ながら治療をしていきましょう。

後希釈オンラインHDFまとめ

後希釈オンラインHDFでのよくあるトラブルと条件設定について解説しました。

嬉しい人

分かった新人MEクン「濃縮が問題だろうっていうのはわかってたんだけど、補液速度と除水のことも考えなきゃいけなかったんだね。
PBiが上がったから血流下げて対応っていうのは間違っていたんだね。これからは気をつけてみるよ」

日本では全体的にiHDFと前希釈オンラインHDFが大勢を占めているイメージではありますが、血流が取れる患者に対しては後希釈オンラインHDFを積極的に行っていくのもありかなと思います。

低分子〜β2MG領域までをブロードで抜ける治療は間違いなくアリだと思いますよ。

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