安全な在宅血液透析HHDの仕組み作り 患者教育における大事な4つのポイントを解説
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悩める新人MEクン「在宅血液透析を病院で行う方針になったんだけど、患者さんが安全に透析を自分で行う環境を作るにはどういうことに気をつければいいの?」
在宅血液透析は自己管理の治療であり、高いQOLを維持できる反面、リスクが常にあることを理解することが非常に大事。
安全に実施できる仕組み作りを構築できなければ、在宅血液透析をやってはいけません。
この記事では【在宅血液透析を安全に実施】するための仕組み作りについて解説していきます。
安全な在宅血液透析HHDの仕組み作り
在宅での血液透析、病院との連携方法としては電話やメール、ラインなどが使用可能ですが、医療従事者が現場(在宅)で即時対応することはできません。
これがHHDが【自己責任の治療】と言われる所以であり、導入が難しいところだと思います。
医療機関側は在宅血液透析実施に関して、安全な透析実施のための教育・ルール作りが必須となります。
- DWの遵守
- 除水の制限
- 中二日を作らない(HDPによる指示)
- 除水停止・治療中止の基準
事故やトラブルを事前に防ぐための手立てをしっかり講じれば【自己責任の治療】という概念は必要ありません。
HHDは自己責任の治療ではなく自己管理の治療
DWの遵守
本当は痩せちゃダメなんですが、「痩せたい」っていう患者さんは多いです。
DWとは【水分の過不足のない適正な体重】って意味ではありますが、週末とかになるとちょっと引いておきたいなんていう患者さんは結構います。
医療従事者が側で見守っている透析であれば、ちょっと引き込んで具合が悪くなってしまってもすぐに対応できますが、在宅血液透析においてはそうもいきません。
HHDでは自己判断によるDWからの引き込みは血圧低下や下肢攣れなどを招く事があるのでやめよう
除水の制限
これはBV計があるとわかりやすいのですが、患者個々の体格にあった除水の限界はしっかり見定めるべき。
HHDにおいては突然の血圧低下性ショックなどは極力回避すべき(病院でもそうですが)ですので、BV計を用いて早め早めに除水を制限する方式をとるべきだと思います。
必要なのは以下の2点。
- 1時間当たりの除水量の制限
- 対処が必要な%BV値
BV計について詳しくは»「日機装社製BV計は安全な透析をする上で最適!DW設定・リフィリング・再循環測定もOK」
中2日を作らない(HDPによる指示)
2日空いたり施設透析と同じスケジュールでは、在宅血液透析のメリットである【生活に合わせた透析スタイル】【圧倒的な生命予後】ではなくなります。
施設透析以上のHDPを目指した透析環境の構築が大事
- HDP56 週4回3.5時間
- HDP72 週6回2時間
- HDP75 週5回3時間
中2日は除水負荷が大きいため在宅血液透析では中2日を作らないコトが大事
HDPについて詳しくは»「透析量HDP vs Kt/Vを徹底考察!生命予後に有用な指標はどっち?」で解説しています。
除水停止・治療中止の基準
これも事前にしっかりルール作りをする必要があります。
個々の生活に合わせた治療であるため、スケジュールや時間はある程度患者に委ねられます。
「明日は外食するから今日多めにやっておこうかな」
こんな柔軟なスタイルが取れるのがHHDのメリットですね。
透析中のバイタルや%BV値に明確なリミットを設け、自己判断で治療を中止する基準を作りましょう。
- 血圧が120を切ったら治療中止
- 足がピリピリしてきたら治療中止
- %BVが-10%を下回ったら除水停止や治療中止
HHDの患者教育中に様々なケースによる基準を明確にするよう心がけましょう。
安全な在宅血液透析HHDの仕組み作り まとめ
安全な在宅血液透析の実施のための仕組み作りで注意すべきポイントを4つ紹介しました。
プライミングの手順や穿刺の方法、回収の方法などは非常に大事です。ですがそれ以上に重要なのは透析中に何もなく無愁訴で治療を終えられること。
より良い在宅血液透析の実施環境の構築のため、【安全に在宅血液透析を実施する】ということを心がけた仕組みを作っていきましょう。