オンラインHDFって本当にいい治療!?条件設定のポイントと各治療法比較をしてみた

透析

困った人

悩める新人MEクン「オンラインHDFってさ、何がいいの?補液を増やしてその分除水をかけるイメージだけど、それでどんなメリットがあるか知りたい。前希釈とか後希釈とかiHDFとか色々治療法があるけど、どんな特徴があるのかな?」

こんな疑問に答えていきます。

結論としてはiHDFはコスパ最高。
血液透析に比べて前希釈オンラインHDFでα1MG、後希釈オンラインHDFでβ2MGが狙いやすいって認識でOK。
血液透析よりもシビアに栄養状態は見ていく必要があると思います。

この記事では、各治療法の概要と条件設定のポイントについて解説していきます。

慢性血液浄化治療の特徴について

慢性血液浄化療法、施設で選択できる治療はこんなカンジ。

  • 血液透析
  • 血液透析濾過(オンラインHDF)
  • 間歇補充型血液透析濾過(iHDF)

各々の治療法の特徴を深掘りしていきます。

血液透析(HD)はすべての基本

血液透析(HD)はすべての基本
HDとは、ダイアライザを介して血液と透析液を接触させ、拡散の原理で血液中の溶質を除去する方法。濃度差を利用した溶質移動のため、小分子の除去に優れています。
中分子以上の溶質の除去に関しては、膜面近傍での拡散能が下がるため、除去効率が低下する。
この治療が全ての基本。

  • 物質交換:拡散(濃度差)
  • 除水:限外濾過(圧力差)

確かに小分子蛋白領域を積極的に抜いていくことも大事だとは思いますが、その前にしっかりとBUN・Cr・K・P当たりの管理ができている事が前提

栄養状態の悪い患者に対してはオンラインHDFよりも積層型AN69を使った血液透析などを中心に治療法を構築すべきと思います。

OnlineHDF(前希釈・後希釈)は低分子蛋白領域がターゲット

OnlineHDF(前希釈・後希釈)は低分子蛋白領域がターゲット
高度に清浄化した透析液を置換液として、図のように透析液ラインから分岐させて補液させる方法。HDと比べ、中分子~低分子蛋白領域の物質の除去能力に優れています。

  • Aチャンバーに補液:Pre Online HDF(前希釈オンラインHDF)
  • Vチャンバーに補液:Post Online HDF(後希釈オンラインHDF)

HDに比べると、拡散で低分子領域を除去しつつも濾過で低分子蛋白領域まで除去可能な治療。

PreOnlineHDF(前希釈オンラインHDF)はα1MGがターゲット

Aチャンバーに補液をし希釈された血液を濾過するため、血液濃縮が起こらない。ゆえに血球成分への影響(ダメージ)が少ないと考えられている。
濾過量を増やしても血液濃縮への影響は無いため、理論上はどこまででも濾過量を増やすことが可能。α1MGは拡散ではほぼ抜けない物質のため、濾過量を増やすことで除去効率を高める事ができます。

ただし、ダイアライザに流入する血液の比率が下がれば下がるほど、拡散能力が落ち、低分子領域の効率が悪くなる為注意。

PostOnlineHDF(後希釈オンラインHDF)はβ2MGがターゲット

Vチャンバーに補液をする方法。希釈されていない血液に一気に濾過をかけるため、高血流透析でないと実施が難しい。
希釈されていないがゆえに溶質濃度の低下が起きず、小分子の拡散能が落ちない。
β2MGは拡散でも抜ける領域のため、拡散能を維持しつつも濾過で更に除去効率をUPすることができる。

iHDF(間歇補液)はコスパに優れる

iHDF(間歇補液)はコスパに優れる
iHDF(間歇補充型オンラインHDF)という治療法でオンラインHDFに分類されます。
ヘモダイアフィルターの透析液側から血液側へ、逆濾過を用いて補液をする方法で、以下のような臨床効果が期待されるモノ。

  • 専用の補液回路なし
  • 補液に使う透析液も少ない
  • OnlineHDFの算定が取れる

病院経営上非常に美味しい治療です、
通常のオンラインHDFは低分子蛋白領域がターゲットとなりますが、iHDFの特徴はこんなことが言われています。

  • 末梢循環の改善
  • プラズマリフィリングの促進
  • 膜の洗い流し効果(経時劣化抑制)

賛否両論あると思いますが、あまり効果は感じられません。
様々な学会で効果あるっていうのが報告されていますが、ちょっとn数少なくて症例報告の域を出ないようなものばっかだなと。
透析と比べて有意な結果はあまり見えてきませんね。

iHDFの補液パターンは病院によって様々です。

先補液後回収
先回収後補液
プログラム補液
*回収:濾過のこと

いずれのパターンでも補液した分は除水に乗っかってくるため、通常のHD治療よりも一時的な除水負荷が増します。
一例として以下の3パターンでの患者の除水負荷についてみてみます。

補液パターン 除水負荷
200ml/30min 400ml/hr
100ml/15min 400ml/hr
50ml/15min 200ml/hr

30分に1回200cc補液設定で見てみると、患者の時間当たりの除水量は1時間当たり400cc増えるのがお分かりですか?
体の小さい患者にとっては、これって致命的な除水量増加。

iHDFで下肢つれや血圧低下が起きるような症例はこの除水負荷が原因

患者個々にあったiHDFのプログラムを行えばうまくいくパターンもありますが、プログラムiHDFが可能な機種は限られており、患者体格などを考慮せず一律のiHDF条件で行っている施設が多いのが実際です。

OnlineHDFの条件設定のコツ

オンラインHDFで改善が期待される病態は以下のような場合です。

  • 骨関節痛 透析アミロイドーシス
  • 透析掻痒症
  • レストレスレッグ症候群

骨関節痛と掻痒症は後希釈でβ2MGがターゲット

分子量11800da(ダルトン)。節や骨に沈着してしまうと透析アミロイド症を起こし、関節の可動域の減少や痛み・痺れの原因となるというのは昔から言われてきていました。

β2MGは拡散でもある程度除去できる物質

拡散能を落とさずに濾過を増やすことのできる後希釈オンラインHDFが最適。
β2MGの除去率を70~80%ほどでコントロールできるといいカンジ。
最近ではβ2MGが掻痒発現物質であるという論文も報告されています。

β2-Microglobulin elicits itch-related responses in mice through the direct activation of primary afferent neurons expressing transient receptor potential vanilloid 1.

Eur J Pharmacol. 2017 Sep 5;810:134-140. doi: 10.1016/j.ejphar.2017.07.007. Epub 2017 Jul 4.

掻痒症についてはこちらの記事でも紹介しています。

RLSはα1MGを抜け

分子量33000da。α1MG領域の大きさにレストレスレッグ症候群の原因の物質があるのではないかと言われているため、積極的に除去していきたい物質です。

濾過量を増やすことでα1MGの除去率が上がる

濾過を増やしやすい治療といえば間違いなく前希釈オンラインHDFですね。
α1MGの除去率は40%程度を目指して条件を設定していってみましょう。

α1MGとアルブミンの分画


ヘモダイアフィルタの種類や膜面積や補液量(濾過量)によるところが大きいですが、一般的に補液量を増やして膜に大きなTMPがかかることでアルブミンを透析液側に引っ張ってしまう状況となります。

膜素材やサイズによっては前希釈であっても後希釈であってもTMPが上がってしまうことがありますので、オンラインHDFではTMPの監視がメッチャ重要。

オンラインHDFまとめ

慢性血液浄化の各治療法の違いについて解説しました。

嬉しい人

分かった新人MEクン「iHDFが流行っている理由、臨床効果もまぁメーカーの言い分を聞く分には良さそうだけど、それよりコスパで選ばれてる感じなのかな。
オンラインHDFは奥が深いね。患者さんの症状に合わせて前後の選択ができるように勉強してみるよ」

オンラインHDFがいい治療なのは間違いないとは思います。
でも個々の患者の栄養状態や症状、透析中の動態などをしっかり把握した上で、個々に合わせた条件を設定してあげる必要がありますね。