在宅血液透析HHDって?患者さんに知って欲しい治療法
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透析導入間近の人「近々透析導入することになりそう。だいぶデータ悪くなってきちゃった。これから週3回も透析に行くのに通院しなきゃいけないこと考えるとお先真っ暗・・・せっかく仕事も慣れてきて、これからガンガンやっていこうと思ってたのに。」
そろそろ透析導入ということで、一番辛い時かと思います。
- 仕事を続けて行けないかもしれない・・・
- 趣味を諦めないといけないの?
- 家族との時間がなくなっちゃう
- 私は長生きできないのかな・・・
正直不安しかありませんよね。
私が透析医療に従事して15年。透析導入して仕事が続けられなくなった人たちをたくさんみて来ました。
通院生活と仕事の折り合いをつけることって、メチャクチャ大変。仕事を辞めちゃった方もたくさんいます。
職場の理解
病院の理解
こんなの全部望んだって得られるひとはごく僅か。
透析導入前と同じ生活を続けることは絶対不可能。
肉体的・精神的負担は当然のこと、それ以上に時間的な制約が重くのしかかります。
本日は透析療法の中でもあまり知られていない
「在宅血液透析」の概要についてお話しします。
在宅血液透析、この治療の認知度はまだメチャクチャ低いですが、透析導入前と同じように仕事を続けたい方、趣味を続けたい方、我慢をしたくない方にはぜひ知っておいて欲しい治療法です。
この記事の内容
- 施設血液透析の時間的制約
- 在宅血液透析の概要
- 透析に合わせた生活から、生活に合わせた透析へ
このきじのもくじ
施設血液透析の時間的制約
慢性腎臓病CKDによる血液透析、治る治療ではなく維持するための治療。
移植しない限り一生続く透析
週3回ほどの通院と一日4時間の治療が日本のスタンダード。
1日24時間365日動き続けている腎臓を代替するための治療、正直週3回4時間では足りません。
患者さんの日々の努力によってなんとか折り合いをつけているのが現状です。
治療方法の選択肢
CKDの治療法は以下の通り。
腹膜透析(PD)
腎移植
在宅血液透析(HHD)
各々の治療法は別記事で掘り下げていきます。
施設血液透析のメリットデメリット
一般的に選択される施設においての血液透析。
この治療法にはどういう特徴があるでしょうか?
定期的な受診による安心感
週3回の外来治療、透析病院は維持透析をすることだけでなく、日頃の観察から色々な問題を発見・対処することが使命。
医師・看護師といった医療のプロ。
日頃から観察をすることで患者さんの些細な主訴や症状から隠れた問題を発見します。
時間的制約がすごい
週3回1日4時間、通院時間まで含めると週に15時間〜20時間を透析に使う必要があります。
夜間に透析を行っている病院がない地域もたくさん。そんな地域で暮らしている方は、仕事を諦めなければならなくなることも・・・
在宅で行える治療は?
社会生活を今までと同じように行えるよう、在宅治療も選択肢に入れるべきです。
CKDに対する在宅治療
- 腹膜透析(PD)
- 在宅血液透析(HHD)
ここからはHHDの概要についてお話ししていきます。
在宅血液透析(HHD)の概要
HHD(HomeHemoDialysis)は文字通り、在宅で行う血液透析。
十分な透析量を得られるため、非常に良い治療。ですがこのHHD、あまりにも世間に認知されていません。
なぜ在宅血液透析が認知されていない?
医療従事者側の認知不足
在宅透析って言葉で連想されるのは、腹膜透析が圧倒的。
「病院で透析をするのが当たり前」
だから調べない。知らない。めちゃくちゃ厄介なマインドブロック。
在宅血液透析導入には病院内の様々な環境整備が必要となるため、HHDが医療従事者に広く認知される必要があります。
患者側の認知不足
医療従事者が知らないのでは、患者さんが知る機会が少ないのが当たり前。
選択肢が提示されないのであれば、患者さんは今受けている治療がスタンダード。他の治療を調べることなんてないでしょう。
在宅血液透析の生命予後は良好
詳しくは別記事で掘り下げますが、HHDの生命予後を語る上で重要な透析効率HDP。
HDP=(透析時間)×(週透析回数)×(週透析回数)
施設による血液透析では保険算定の都合上、週3回ほどしか治療を受けられません。
HDPの式から分かる通り、透析時間よりも透析回数を増やすことがHDP向上には不可欠。
HHDでは回数の縛りがないため、頻回短時間透析といったスタイルが可能です。
透析治療 | 治療パターン | HDP |
血液透析 | 週3回4時間 | 36 |
血液透析 | 週3回5時間 | 45 |
HHD | 週6回2時間 | 72 |
HHD | 週5回3時間 | 75 |
HDPがなぜ生命予後に有効なのでしょう?
生命予後に大事なのは
「1回の透析でどれだけ水や毒素を抜くか」じゃないんですよ。
『どれだけ水や毒素が少ない状態をキープするか』
健常人の体の状況により近い状態を目指すためには、透析回数を増やすことが最重要なわけです。
透析量HDP vs Kt/Vを徹底考察!生命予後に有用な指標はどっち?
透析量の指標であるHDPとKt/Vの使い分けにお悩みですか?
どちらも透析量指標として非常に重要ですが、評価するポイントが全然違います。
この記事を読めば両指標の評価のポイントや問題点がバッチリわかります。
新人MEクン、Kt/Vだけ評価してちゃダメですよ。
在宅血液透析ってお金かかる?
在宅血液透析は文字通り、家で行う透析。
透析に関わる機械や医療材料は病院負担となりますが、配管工事や水道光熱費は自己負担。
毎月の水道光熱費の自己負担増は大体15,000〜20,000円ほど。
金銭的負担を超えるメリットを感じられるか?
次の項を読んだときに、あなたはこの自己負担増加に対する気持ちが変わるハズ・・・
透析に合わせた生活から生活に合わせた透析へ
さまざまな制約がなくなること
HHDのメリットを一言で説明するならば、これに尽きます。
病院の維持透析では・・・
悪く言えば病院の都合で透析はスケジューリングされます。
生活に合わせて治療を行うことはできず、全てが透析治療中心の生活に・・・
透析に対する絶望感
残業できず周りに負担をかけてしまう
家族を養えないかも
挙げればキリがありません。
HHDで仕事も趣味も
在宅で透析を行う。管理病院にもよりますが、自分のタイミングで透析を行うことができます。
今までの自分の時間を犠牲にすることなく、治療を行うことが可能。
- 夕食時に家族とダイニングで
- 団欒のひとときをリビングで
- 書斎で読書をしながら
どんなスタイルだってHHDなら可能。
食べたいものを食べよう
在宅血液透析では回数制限がないとお伝えしました。
施設透析と比べて回数を増やせることがメリットであり、逆に言えば週3回しか治療をしないのであれば、HHDである意味はあまりありません。
その日に溜まった水分、毒素はその日のうちに抜く。
その日の汚れその日のうちに
なんかこんなCMのキャッチコピーありましたよね。
これこそが在宅血液透析が生命予後に優れる点。
『しっかり食べてしっかり透析』
より健常人に近い生活を送れます。
結論

透析導入間近の人「在宅血液透析、すげーな。また今度受診があるから、その時に先生に聞いてみるよ!
仕事やっぱりやめたくないし、我慢我慢で生きていきたくはないから、在宅血液透析のこともっと勉強してみる!」
現状の日本で在宅血液透析を導入・管理している病院は多くはありません。
今外来通院をしている病院に聞いてみましょう。近くの施設を探してくれるはず。
それでもなかったら私に連絡ください。
在宅血液透析の導入を臨床工学技士の立場から、そして物品供給可能な代理店の立場からサポートいたします。
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